ちょうど足首の内側、くるぶしに小さな穴のような傷。血は出ていなかったが、透明の体液で濡れていた。
僕は身に覚えのない傷が気になっていた。
虫刺されではないことは明らかだった。
爪で少し引っ掻いてみた。
痛みはない。
爪に液体がついた。やはり、傷は新しいもののようだ。
中を覗いてみた。
細いストローくらいの傷口だったが深くはない。
少し傷口を広げるように足首を動かした。
少し足に違和感がある。
足を手で持って力を入れた。
傷口が横に裂けた。
どんどん裂けていく。
だが、痛みはない。
指が3本くらい入る穴になった。
驚くべきことに、内部は空洞だった。
しかも、足の裏側が透けるほどに薄い。光を通過させて白く濁った黄色をしていた。
僕は一瞬にして恐怖。足が軽い。
素早くかつ正確に足を動かして傷口をもとに戻した。
傷口が濡れているためにヒタリと塞がった。
僕はもう一度、押し付けがましい期待をもって足に手をかけた。
何度か試したが、どうということはない。すぐに傷口は大きく裂けて、空洞が顔を出した。
唐突に記憶が途切れる。
僕は布団の中にいた。
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