2009/05/25

「永遠を放棄して」Vol.2

そうだ。僕はいつだって永遠を求めてきた。
僕は永遠に子どもであり続けたかったし、それが真実だと思っていた。
年齢を重ねて、異性と恋人という関係を何回かもった。身体を交えるだけの関係もあった。
僕は自分自身でも気付かぬうちに子どもではなくなっていた。
そこで、僕は僕という存在に永遠を求めた。
しかし、僕もいつかは死ぬだろう。僕自身に永遠を求めるのは不可能に思えた。
何か、一つでもいい。永遠と呼べるものが欲しかった。

自分に永遠を求めることが不可能なら、他人に求めるしかない。僕は恋人に永遠を求めた。キスもセックスも何もかもが、永遠を作り出す材料のように思えた。

数えきれないほどの日々を過ごし、その数だけセックスをした。
「思い出にはなりたくない」
それが僕の口癖になっていた。思い出とは再現が不可能な物事をいう。
過ぎゆく日々は、意識的に繰り返される日々で、再現可能なものでなければならない。テーマパークの人混みの中で抱き合ったことも、雨降る花火大会でのキスも、明け方から始まるセックスも、何もかもが再現可能なものだと思った。

永遠はもう目の前だ。
しかし、僕は逃げ出した。
永遠を手に入れるためには、永遠という重圧に耐えられなければならない。僕は永遠を前にして怖じ気づいていた。


続きます。

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